「DATA-EX」とは

               

DATA-EXとは、さまざまな分野、業界が自らデータ連携基盤(データスペース*)を構築するための共通技術や標準等を提供する活動の総称です。

DSAでは、データと人材が連携・循環するCPS(Cyber-Physical System)の実現を目指し、SIP分野間データ連携基盤技術開発の成果であるデータカタログ検索機能、分野を超えてデータの発見と利用ができる仕組み「CADDE」、データの原本性保証・品質評価、データ管理機能、統計、解析、可視化など、データ連携に必要な共通機能を開発しており、これらの共通技術を提供するDATA-EXプラットフォームを2025年から本格稼働する計画です。

DATA-EXは、国内のデータ連携のハブとなるとともに、GAIA-X等の国際的なデータ連携基盤との相互運用を見据え、海外の主要団体とも議論を重ね、社会実装を推進します。

DATA-EX

「DATA-EX」関連プロジェクト

なぜ「DATA-EX」が必要か?

最近では、データの活用がさまざまな分野で進み、人々の生活はより豊かになっています。しかし、個々のアプリケーションやサービスが独立して存在しているため、企業や業種等それぞれの分野の壁を越えたデータ流通ができないことが課題となっています。分野ごとにデータが分散しているため、必要なデータの連携をするには異なる手法や技術が必要となります。
そこで、DSAでは連邦型の分野を超えてデータ連携を実現可能とする共通技術を開発し、「DATA-EXプラットフォーム」を通じて提供していきます。
「DATA-EXプラットフォーム」が提供する技術は、データを各分野ごとのデータ連携基盤に参加する機関が自らの主権のもと、データの授受を管理することを第一義にしています(自律分散協調型)。これにより、必要なデータを必要な時に、相互の合意と管理のもとに活用することができます。さらには、共通の技術を活用することで、業種、分野を超えてデータ連携基盤を自由に構築することを可能となります。データ連携基盤によって多種多様なデータが連携されることで、例えば以下のような課題の解決に貢献することが期待できます。

防災分野での活用例

従来、災害発生時には被害情報の収集が遅れ、安全な避難誘導や素早い復旧計画の策定が困難でした。しかし、データ連携基盤によって、公共交通機関の運行情報や電力、ガス、水道、通信などの各ライフライン情報、自治体が保持する避難所の情報など、分散していたさまざまな情報が適切に収集・活用されることで、災害時の被害を最小限に抑えることや迅速な復興に貢献することが期待されます。

医療分野での活用例

データ連携基盤は、病院の予約システムと、交通事業者の配車システムのデータ連携を可能にし、通院をワンストップ化する。これは、高齢者のスムーズな通院を可能にし、地域交通の合理化により地域経済の活性化に貢献します。

ものづくり分野での活用例

ものづくりの分野では、各製造プロセスで必要となるデータや、消費者ニーズや販売状況に関するデータなど、ものづくりのサプライチェーンに関連する多種多様なデータを、データ連携基盤によって交通状況や災害などのデータとシームレスに連携させることで、在庫ロスの削減や配送時間の短縮などが期待できます。さらに、サプライチェーンに於けるCO2排出量削減に資するデータの活用を促すことで、カーボンニュートラルな社会への寄与も期待できます。

「DATA-EX」取り組みマップ

DATA-EXは、日本国内の業界業種・分野を超えたデータハブであるとともに、令和3年6月に閣議決定された包括的データ戦略においてデータ利活用環境の重点項目として掲げられているデータ取引市場とPDS・情報銀行といった民間サービスと相互連携することにより、データ利活用のルール、個人情報保護、知財保護といったデータガバナンス機能を備える方針です。また、欧州やインドなど、国外のデータ連携の取り組みとも相互理解を促進するとともに、DATA-EXの取り組みを国際展開していくことで、DFFT(Data Free Flow with Trust)の実現に寄与します。

DATA-EX分野間データ連携基盤の将来展望と開発環境

DATA-EXは、自らデータ連携基盤を構築するための共通ソフトウエアモジュールとして「コネクタ」を提供します。データを提供する各機関はコネクタを利用することで、外部とのデータ授受やデータ提供時の利用コントロールができるとともに、データを利用する側はインターフェースを共通化してサービスを提供することができます。
さらに、誰がどのようなデータを持っているか横断的に検索ができたり、データ提供者・利用者の真正性、データの完全性を保証する機能、国際連携機能などを提供します。
DSA会員に向けては、社会実装に先立ち、テストベッドを提供しております。

活動内容

2022年度

データ連携基盤のあるべき姿を検討するため、SIP分野間データ連携基盤の研究チームと共同で集中検討会を開催し「DATA-EX 分野間データ連携基盤技術仕様書」をはじめとする以下文書を作成しました。

No. 文書名 概要
1 DATA-EX分野間データ連携基盤
技術仕様書
DATA-EXのアーキテクチャの各種定義及び、各ステークホルダーの役割を定めた文書
DATA-EXの在り方や今後の議論点、実装のための基礎的な情報等を理解する為に利用する

2023年度

DSAとして、データ連携基盤の下記設計文書の整備を進めるとともに、早期運用開始に向けシステム開発を進めるため、会員企業のご支援のもとDATA-EX開発TFの活動を継続して参ります。

No. 文書名 概要
2 サービスレベル保証書 DATA-EXで提供されるサービスの品質保証レベルを定めた文書
DATA-EX運営事業者が提供するサービスの品質保証レベルや責任範囲を理解する為に利用する
3 DATA-EXデータカタログ項目仕様 DATA-EXで使用するデータカタログの項目を定め、項目の仕様を解説した文書
データカタログに記載する必要がある項目を理解する為に利用する
国際標準(W3C DCAT)に基づく項目(タイトル、説明、作成者等)、利用条件の把握や検索条件に必要な利用ライセンスに関する項目(契約形態、秘密保持義務、利用用途等)、データの内容を理解するために必要な項目(語彙、用語、スキーマ等)、データ交換を実現するために必要な項目(コネクタID、DDP ID等)について記載する
4 DATA-EXデータカタログ項目
ガイドライン
データカタログ項目仕様の値設定の補足や値の候補リストのガイドラインを記載する
5 DATA-EX利用解説書 DATA-EXの参加基準を定め、具体的な利用手順を解説した文書
DATA-EXへの参加方法やDATA-EXの利用方法を理解する為に利用する
6 利用契約書 DATA-EX利用時における参加者の権利や義務、遵守すべきルールについて定めた文書
参加者全員に適用されるDATA-EXの統一的なルールを理解する為に利用する
7 プライバシー方針書 DATA-EXにおける個人情報の取扱い方針を定めた文書
DATA-EXで取得される個人情報の利用目的等を理解する為に利用する

データスペースは、参加者間の安全で信頼できるトランザクションを可能にするガバナンスフレームワークによって定義された分散システムです。本サイトでは「データスペース」と「データ連携基盤」を同義に使っています。