DSAオープンフォーラム『データマネタイズとデータ主権』参加者様からいただいたご質問への回答です。

先日4月24日に開催した第14回DSAオープンフォーラム「データマネタイズとデータ主権」にご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
参加者アンケートで頂戴したご質問へ回答させていただきます。


質問①

基本的な質問だったら申し訳ありません。
Ouranosは各業界データスペースを提供、というかそれらにアクセスするためのデータ連携基盤やSSIなどの仕組を提供しており、さらにはCatena-Xとの連携もできるようになったと聞いています。Data-EX(のイニシアチブというよりも設計技術やタンジブルなコードなど)の成果物は、Ouranosとどういう関係でしょうか?想像するにData-EXの成果物を要素技術として、Ouranosというシステムで活用されている(OSSや技術思想など)という解釈もしましたが、問題あるでしょうか?

DSA事務局からの回答

Ouranosは、経済産業省が2023年に提唱したデータ連携のエコシステムやその政策の呼称です。同じく、DATA-EXも広義な活動のことを示す総称であり、どちらも特定の仕組みやシステムを呼称するものではありませんのでご注意ください。
また、OuranosとCataena-Xとの連携は研究的な実験をしたもので、制度面をふくめ社会実装レベルには至ってはおりません。

Ouranosは、当時の政策理念のもとに、はじめに自動車のバッテリーパスポートのデータを自動車業界で連携させる仕組みが開発されました。この仕組みは、データ連携する企業・団体間であらかじめ契約締結がなされていることを前提とし、かつデータは全てデータスペースの管理者が用意するデータストレージに保管される中央集中型です。
一方で、DATA-EXは自律分散型のデータ連携を行うデータスペースであり、SIP2期における分野間データ連携基盤の成果をもとに開発しているものです。この「自律分散型」というコンセプトにもとづくデータスペースを構築するための要素技術としてソースコードやテスト環境をデータスペース構築を行いたい組織あるいは団体に提供しています。そして、このコンセプトはGiax-XやCaten-Xと共通するものです。

Ouranosの活動では、先行的に実装が進められたバッテリーパスポートの仕組みを今後自律分散型へと拡張することも視野にいれた取り組みを始めています。DSAはこの取り組みに対し積極的に協力しており、先般開示されたOuranosのホワイトペーパーについても公表にあたり経済産業省と共同で校閲を行いました。

質問②

APPAの実装に向けた具体的な議論は日本において進んでいますでしょうか。課題や、展望をお教えいただければ幸いです。

DSA事務局からの回答

APPA=Authorized Public Purpose Accessという前提で回答します。
APPAは、OECDや世界経済フォーラムで2020年頃に議論が始まった概念で、個人や企業が保有するデータを、公共の利益(public purpose)に資する範囲内で、安全かつ適切に利用できるようにするための概念・制度の総称です。
このコンセプトは、すでにスーパーシティやPHRなどで取り組まれておりますので、コンセプトに基づく社会的な実装は進んでいると言えます。
しかし、標準化された実装や制度化された規範的な仕様などは定まっておりません。
DSAでも、データを取り扱う上での適切なプライバシーの在り方や、PETS(Privacy-Enhancing Technologies)、AI(人工知能)に関する要件などについて、イベントや定常的な委員会活動のなかで言及されることは多くあります。ただし、これらに関して特定の課題や展望を明確に示せる段階には至っていません。


次回のDSAオープンフォーラムは、6月16日(月)に日本青年館にて開催いたします。
テーマが決まり次第、当サイトにてお知らせいたします。
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