データ利用権を活用したデータ取引市場の実証を開始 〜安心、安全な仕組みにより、データ価値を顕在化〜

実証概要

 データ利用権取引市場システムでは、データ利用に関わる権利の条件を標準化した「データ利用権証」と対象データを組み合わせて取引します。また、TTPがデータを利用する権利の保証と、取引の関与者それぞれの真正性、データの完全性を保証することにより、安心・安全かつ効率的なデータ取引を支援します。加えて、「データ利用権証」を取引の対象とすることで、データ提供者はデータ収集前に売買を成立させることができ事業資金の調達ができることも期待されます。 本実証では、データブローカーとしてDSA会員企業に協力いただき、以下の各項を実施します。
 
利用券取引市場の仕組み

 

1.データ利用権取引市場の構築・運用
内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の「分野間データ連携基盤技術の社会実装に向けた外部仕様書の作成・公開および相互接続性実証」事業において開発されたデータ利用権取引市場システムをテストベッドとして構築しDSAが運用管理します。
 
2.データ利用権取引市場におけるデータ取引実証の実施
本テストベッドを用いて、DSA会員によるデータ取引を仮想的に実施します。ただし、通貨による精算は行いません。
 
3.データの価格決定にブックビルディング方式を採用
データ利用権取引市場にデータを上場する際の公開価格の決定に、株式と同様にブックビルディング方式を選択できることとします。これにより、上場予定のデータの価値を市場一般に問うことができ、データ提供者にとって価格設定の参考となることが期待されます。
 

[実証プロセス]
実証プロセス

検証観点と成果物

①データ利用権取引市場システムの技術的課題をとりまとめます。
②データ利用権取引市場運営事業者及び、データブローカーの資格要件を取りまとめます。
③データ利用権取引市場へのデータ上場の審査要件をとりまとめます。
 
上記①から③の結果から、以下2点を本実証における成果物といたします。
●必要なシステム改築などが発生した場合、システム改版要求などを取りまとめます。
●必要な運用基準、認定基準、技術基準に対する基準策定の提案を行います。
 

スケジュール

[実証説明会の開催]
2023年7月末を予定。会員向けにご案内いたします。
説明会実施後、参加者を募集します。
 
[データ利用権取引実証期間]
2023年8月-2023年12月
※取引期間は1週間程度の期間定めて集中して行います。
 
[課題とりまとめ・報告書作成]
2023年12月-2024年2月

背景

 DSAでは、前身である一般社団法人データ流通推進協議会(DTA)設立時より、データの健全な流通を実現するために、中立、公平な仲介者であるデータ取引市場運営事業者の在り方について協議し、データ取引市場運営事業者認定基準D3.0を策定し公開しております。一方で、無体物であり排他的所有が困難であるデータの性質は、株式や不動産といった他の有体物と異なり市場取引を実現する時に、漠然とした不安、不満を伴い、市場成立を困難にさせる要因となっています。
 そして、2022年度に内閣官房が実施した「DFFTを実現するためのデータ利用権取引市場の設計及び実証研究」及び、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の「分野間データ連携基盤技術の社会実装に向けた外部仕様書の作成・公開および相互接続性実証」においては、データにアクセスし利用する権利(データアクセス権)等を設定し、公正・中立で信頼できる運営事業者(Trusted third party)がそれらの取引を仲介することにより、データ流通の活性化と ダイナミックな市場形成を実現するものとして、データ利用権取引市場の検討、実証が進められてきました。

これまでの成果をもとに、データ利用権取引市場の本格的な社会実装に向けより広い参加者とともに検討を進めるため、今年度より利活用促進委員会にデータ利用権取引市場活用WGを設置し、DSA会員企業の協力のもと引き続き研究に取り組むこととなりました。

本件に関するお問い合わせ

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