推奨モジュールの普及状況(令和7年度)

(2026年1月時点)

1. 推奨モジュールの普及状況

アンケート結果をもとに、各推奨モジュールの利用状況をまとめています。

■ ブローカー(非パーソナル)「FIWARE Orion」

ブローカー(非パーソナル)の推奨モジュールである「FIWARE Orion」は、回答のあった64自治体のうち41自治体(約64%)が利用しており、最も普及が進んでいるモジュールです。 利用している自治体数は令和4年度の15団体から令和7年度の41団体へと着実に増加し、過去最高を記録しました。利用理由としては「国が推奨しているため」が多く、トップダウンの政策的判断が導入の大きな要因となっています。 一方で、「利用していない」と回答した自治体も増加傾向にあり、その大半が「今後も利用予定がない」と回答しています。これは、すでに独自の基盤を構築済みである等の理由から、普及状況が二極化していることを示唆しています。

<推奨モジュールを利用していない理由>

  • ベンダーからの提案があったため
  • 検討中のため
  • 非パーソナルデータを取り扱っていないため(自由記述)
  • 開発ベンダーオリジナル仕様のため(自由記述)

図1:ブローカー(非パーソナル)における推奨モジュールを利用している自治体数

図2:年度別利用自治体数推移(R4~R7年度)

■ APIゲートウェイ「Kong Gateway」

APIゲートウェイ「Kong Gateway」については、回答自治体のうち20自治体(約31%)の利用に留まりました。 令和5年度の約44%をピークに利用割合は減少傾向にあります。これは、APIゲートウェイ領域において既に市場で実績のある商用製品や、AWS等のクラウドベンダーが提供する機能を利用するケースが多く、「推奨モジュールと同様の機能を実装済」または「ベンダーからの提案」により他製品が選定されているためです。また「Kong Gateway」を利用している全ての自治体が「国が推奨しているため」を採用理由として挙げています。

<推奨モジュールを利用していない理由>

  • ベンダーからの提案があったため
  • 推奨モジュールと同様の機能を有するAPI管理機能を実現済みであったため

 

図3:APIゲートウェイの現在の利用状況と今後の利用予定

図4:年度別利用自治体数推移(R4~R7年度)

■ ブローカー(パーソナル)「パーソナルデータ連携モジュール」

パーソナルデータ連携モジュールについては、「利用していない」自治体が約79%と多数を占めています。 現在パーソナルデータを扱っている自治体であっても、その多くは推奨モジュール以外の既存システムを利用しています。一方で、「今後パーソナルデータを扱う予定がある」としている自治体においては、約43%が利用意向を示しており、新規導入層においては推奨モジュールの採用が有力な選択肢となっています。

<推奨モジュールを利用していない理由>

  • ベンダーからの提案があったため
  • 推奨モジュールと同様の機能を有するブローカー機能を実現済みであったため

 

図5:ブローカー(パーソナル)の現在の利用状況と今後の利用予定

図6:パーソナルデータを扱っている自治体数

2. データ連携基盤の利用実態

■ サービス分野の傾向

データ連携基盤に接続されているサービスの分野としては、「行政」が最も多く(約24%)、次いで「環境・地域活性化」「健康・医療」「防災」の順となりました。これら上位4分野で全体の約7割を占めており、住民サービスに直結する領域や、地域の課題解決に向けた分野でのデータ連携ニーズが高いことがわかります。

図7:データ連携基盤に現在接続しているサービス分野

※サービス分野は回答いただいたアプリケーション名およびその概要によって分類し集計しています。

■ データ連携(接続)における課題

データ連携基盤へのデータ接続について、約半数の自治体は「課題はない」または「解決済み」としていますが、約47%の自治体が「課題はあるが、現在解決していない」と回答しています。 主な課題として、データ接続にかかる費用(開発費・改修費)の負担や、データフォーマットの統一・変換に関する技術的なハードルが挙げられています。

図8:データ連携基盤にデータを接続する際の課題解決状況

■ サービスの接続・運用における課題

データ連携基盤に接続するサービスについては、「課題はない」または「課題があったが、解決している」と回答した自治体が合わせて約60%を占め、半数以上でスムーズな運用が行われています。 一方で、「課題はあるが、現在解決していない」と回答した自治体も26自治体(40%)存在しており、サービスの拡充や運用継続において依然として障壁があることが明らかになりました。 主な課題としては、機能追加や連携にかかるイニシャル・ランニングコストの高さ、接続する費用対効果の不明瞭さ、サービス提供事業者との調整などが挙げられています。

図9:データ連携基盤に接続するサービスの課題解決状況

■ データ利活用と課題解決の事例

現場の技術的な工夫による課題解決や、当初の想定を超えた副次的な効果が報告されています。

  • 運用効率化と標準化
    ETLツールの導入によるデータ追加コストの削減・自動化や、マニュアル整備による事業者間の技術的な理解促進など、持続可能な運用体制が構築されています。
  • ユーザビリティの向上
    複数のアプリを1つに統合するフロー改修や、利用申請手続きの可視化を行い、住民視点での利便性改善が実現しました。
  • 基盤活用の波及効果
    土木分野から他分野への横展開や異業種連携による新サービス創出、地域交流の活性化、企業誘致など、基盤活用が地域全体へ多岐にわたる価値をもたらしています。

 

■ 運用・モニタリング状況

データ連携基盤の運用状況を把握するための「モニタリングできる仕組み」については、28自治体(約45%)が「仕組みがあり、管理している」と回答し、適切な統制が行われています。一方で、モニタリングの仕組みがなく管理を行っていない自治体も23自治体(約37%)存在しており、安定運用の観点から今後仕組みの導入が求められます。

 

図10:モニタリングできる仕組みの有無と管理状況

3. まとめ:普及の「量」から「質・運用」のフェーズへ

本年度の調査結果より、推奨モジュールの普及は「導入拡大」の段階から、実運用における「質の深化」および「技術的支援」が問われるフェーズへ移行しました。

  • 推奨モジュールの立ち位置 ブローカー(非パーソナル)は約64%の利用率となり、標準基盤としての地位を確立しました。一方で、APIゲートウェイやパーソナル分野は既に導入済みの民間製品や既存システムが利用されているケースも多く見られます。今後は、既存製品といかに棲み分け、共存していくかという観点での新たな価値提案が重要となります。
  • 運用面の課題 データ連携基盤のモニタリングの仕組みがない中、管理に取り組んでいる自治体、管理していない自治体が存在しており、障害検知や安定運用の観点でリスクが顕在化しています。安定した運用を実現するためには、必要な技術や要員の確保に加え、データの流通(形式の異なるデータの変換等)、基盤それ自体の機能に関する技術的助言を通じた活用の深化が求められます。
  • 今後の方向性 今後は、発生した課題を解決するためのトラブルシューティングや、サービス拡充での情報提供が不可欠です。現場が抱えるコストや運用の不安を解消し、持続可能な運用を実現するためのノウハウ共有と体制強化が求められます。

4. 対象自治体と調査方法について

デジタル庁のデジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)等の採択案件等、データ連携基盤を保持する都道府県及び基礎自治体を対象にアンケートを実施しました。

《対象自治体》 アンケート回答のあった62自治体(地方公共団体コード順), 北海道札幌市、北海道小清水町、北海道上士幌町、北海道更別村、青森県むつ市、宮城県仙台市、福島県、茨城県つくば市、栃木県矢板市、栃木県那須塩原市、群馬県前橋市、群馬県嬬恋村、埼玉県秩父市、千葉県市原市、東京都千代田区、東京都渋谷区、東京都江戸川区、東京都狛江市、神奈川県、富山県、富山県朝日町、福井県、山梨県、長野県、長野県茅野市、岐阜県、静岡県浜松市、静岡県三島市、静岡県焼津市、愛知県岡崎市、京都府、兵庫県姫路市、兵庫県加古川市、兵庫県加西市、兵庫県養父市、和歌山県有田市、和歌山県白浜町、和歌山県すさみ町、鳥取県、岡山県津山市、岡山県真庭市、岡山県西粟倉村、岡山県吉備中央町、広島県、広島県呉市、山口県山口市、山口県山陽小野田市、香川県高松市、香川県東かがわ市、香川県三豊市、愛媛県、愛媛県新居浜市、愛媛県西条市、福岡県、福岡県福岡市、佐賀県佐賀市、長崎県、熊本県、大分県臼杵市、宮崎県都城市、宮崎県都農町、宮崎県延岡市

※複数のデータ連携基盤を運営し管理部門が異なることから、同一自治体で複数回答している自治体もあり、回答総数は64となっています。

《実施期間》 令和7年(2025年)10月31日 ~ 令和8年(2026年)1月9日

《調査方法》 オンライン回答システム(システムが利用できない団体はExcel様式による回答)

《調査結果のリンク》 R7年度のアンケート回答集計結果の詳細はこのファイルをご参照ください。

 

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