推奨モジュールの普及状況(令和5年度)

(2024年3月時点)

推奨モジュールの普及状況

データ連携基盤導入における令和5年度の推奨モジュールの普及状況と令和4年度からの利用状況の変化を以下に示します。


ブローカー(非パーソナル)の推奨モジュールである「FIWARE Orion」は、アンケート対象の43自治体のうち36自治体(回答自治体の83%)が利用しており、利用していない7自治体のうち4自治体においても今後の利用が検討されています。令和4年度調査結果の23自治体のうち15自治体(回答自治体の65%)が推奨モジュールを利用と比較し、大幅に利用が増加していることから普及が大きく進んでいると考えられます。
また、奨モジュールを利用していない主な理由として「同様の機能を有するブローカー(非パーソナル)を既に導入済みのため」と回答した自治体は推奨モジュールの今後の利用予定はないと回答しています。そのため、これからデータ連携基盤を導入していく他自治体に対して参考となる特徴を持つ自治体のユースケースを発信していくことが有効であると考えています。
<推奨モジュールを利用していない理由>
・同様の機能を有するブローカー(非パーソナル)を既に導入済みのため
・構築時点で推奨モジュールがなかったため


APIゲートウェイ「Kong Gateway」については、アンケート対象の43自治体のうち19自治体(回答自治体の44%)が利用しており、利用していない24自治体のうち、今後2自治体が利用を検討しています。なお、推奨モジュールを利用している理由は「国が推奨しているため」と回答した自治体が17自治体(回答自治体の89%)と最も多く、令和4年度調査結果の23自治体のうち8自治体(回答自治体の34%)と比較し、利用が増加していることから普及が進んでいると考えられます。
モジュールを利用していない理由として、令和4年度の調査結果と同様に推奨モジュールと同等の機能を実現している事例が多く、令和3年度にデジタル庁が実施した「生活用データ連携に関する機能等に係る調査研究」において、「必須要件を満たしていればKong Gatewayに限定せず開発者や運用者が使い慣れた製品を採用することを推奨する」とされているためと考えられます。
<推奨モジュールを利用していない理由>
・推奨モジュールでは機能・非機能要件を満たさないため
・同様の機能を有するAPIゲートウェイを既に導入済みのため


令和4年度の調査時点では、パーソナルデータ連携モジュールについては、利用している自治体はありませんでしたが、令和5年度はアンケート対象の26自治体のうち10自治体(回答自治体の38%)が利用しており、利用していない16自治体のうち、今後2自治体が利用を検討しています。このことから推奨モジュールの普及は進んでおり、今後も利用自治体数は増加していくと考えられます。
モジュールを利用していない理由として、パーソナルデータ連携モジュールの必要性がわからないとの回答があったため、今後普及を進めていくためには、パーソナルデータを扱う自治体のユースケースを発信していくことが有効と考えられます。
<パーソナルデータ連携モジュールを利用していない理由>
・現状、目的とするサービスの要件上、不要と判断したため
・必要性が分からなかったため
・同様の機能を有するブローカー(パーソナル)を既に導入済みのため

データ連携基盤の利用実態

地域課題を解決するため、データ連携基盤を用いて自治体がデータ利活用を進めている背景として、推奨モジュール普及状況のアンケート回答結果から課題の上位3つとして「人手不足」、「少子高齢化」、「情報の分散化」がありました。
自治体がデータ連携基盤に接続しているサービスもそれらの課題に関わりが深い分野であり、これらの課題は中長期的な対策が必要なため、アンケート実施時点ではその課題を解決している自治体より、課題解決に向けた検証を実施している自治体が多くを占めています。
各自治体がデータ連携基盤で解決したい課題の分類を下記図に示します。

「人手不足」、「少子高齢化」、「情報の分散化」が上位3つの課題として挙げられており、特に「人手不足」、「少子高齢化」は日本の人口推移から多くの自治体が直面する社会問題であるため、今後も同分野の課題解決に向けたデータ連携基盤の需要は高まっていくと考えられます。

データ連携基盤を利用する自治体が解決しようとする課題の解決状況は、「解決した」が9件、「解決しなかった」が1件、「現在検証中」が最も多い20件でした。これは自治体が抱える「人手不足」、「少子高齢化」、「情報の分散化」といった課題は中長期的に解決していくものが多いからと考えられます。なお、課題を「解決した」と回答した自治体の事例についてはページ下部の表 1 データ連携基盤での課題解決事例に掲載しています。

自治体が抱える課題の解決状態や解決の見込みについて、「現在検証中」と回答した自治体を対象に、いつまでに課題の解決が見込めるかという質問を行ったところ、解決時期は「令和5年」が1自治体、「令和6年」が12自治体、「令和7年」が3自治体、「未定」が4自治体という結果になっています。これにより、データ連携基盤導入による課題解決の取り組みは、データ連携基盤導入後、一定の事業継続が必要であると考えられ、継続して経過を観察する必要があります。なお、「解決した」と回答した自治体では、行政サービスの効率化実現やサービス利用者の増加といった短期的に検証可能な観点で課題の解決を図っています。
自治体が抱える課題を解決するためデータ連携基盤にどのような分野のサービスを接続しているか、非パーソナルデータ、パーソナルデータそれぞれについてサービス分野の分布を以下に示します。

非パーソナルデータを連携しているサービスとして、「交通・モビリティ」が15自治体と最も多く、次いで「防災」「行政」が11自治体、「環境・地域活性化」「健康・医療」が8自治体という結果でした。データ連携により解決しようする課題とその背景は主に「人手不足」、「少子高齢化」、「情報の分散化」 が挙げられていたため、これらの背景と関わりの深い分野の非パーソナルデータが連携していることが読み取れます。

パーソナルデータを連携しているサービスとして、「健康・医療」が10自治体と最も多く、次いで「行政」が6自治体という結果でした。この2分野に関しては、パーソナルデータと密接に関わりのある分野であり、今後も連携数が伸びると推測されます。
以下の表はデータ連携基盤で課題を解決した自治体の事例です。データ連携基盤の導入を検討する際の参考としてご活用ください。

表 1 データ連携基盤での課題解決事例

項番 自治体名 課題(分野) 解決理由
1 静岡県焼津市 防災に関する複数のシステムのデータを一元化し、公開する仕組み(防災) 防災に利用できる情報を一元的にマップ上で表示するなど、避難情報発信の迅速化(効率化)
2 富山県朝日町 相互創客及び分析の高度化(サービス利用者の利便性向上)
交通中心にID単位での分析(交通・モビリティ)
データを使ったサービスオファーで適切なユーザーに絞ったLINE push配信
3 岐阜県 物流2024年問題に対し「、輸送の共同化」など「スマート物流」を進め、持続可能な物流体制を確立する必要がある(人手不足、物流) 共同輸配送の実現により、トラック積載率の向上といった具体的効果の確認
4 石川県能美市 市民の孤立孤独(少子高齢化)
地域包括ケア的地域医療介護環境の体制強化(コミュニティの維持、活性化、医療)
移動を含めた非効率の解消(交通・モビリティ)
地域での医療介護専門職の連携強化や効率化
5 神奈川県小田原市 防災情報などどのひとつのデータアセットから複数のサービスに情報提供必要なデータの共有(防災、情報の分散化) 1データ1サービスだったものを、1データ複数サービスへの構図に変換
静岡県浜松市 地域に関わる様々なデータの連携・流通の促進(持続可能な街づくり、地域活性化、情報の分散化) データ連携基盤を活用してサービスの実証や地域実装に取り組む事業者の増加

 

対象自治体と調査方法について

対象自治体と調査方法、アンケート結果の詳細については、デジタル庁が実施した「デジタル田園都市国家構想の実現に向けた生活用データ連携基盤におけるデータ仲介機能に関する機能及び運用等に係る調査研究」の調査報告書及び別紙「令和5年度データ連携基盤に関するアンケート結果」において記載されており、デジタル庁のWebサイトに公開されています。

 

《対象自治体》
令和3年度補正予算で施行された「デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装タイプ TYPE2/3)の採択結果について 」および令和4年度補正予算で施行された「デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)の交付対象事業の決定について 」に記載のTYPE2/3採択案件の自治体の内の以下43自治体。(地方公共団体コード順)

北海道札幌市、北海道江別市、北海道更別村、宮城県仙台市、福島県、福島県会津若松市、栃木県那須塩原市、群馬県、群馬県前橋市、熊谷市、埼玉県秩父市、東京都東村山市、東京都狛江市および福島県矢吹町、神奈川県小田原市、富山県朝日町、石川県、石川県能美市、山梨県、長野県茅野市、岐阜県、岐阜県養老町、静岡県浜松市、静岡県三島市、静岡県焼津市、三重県多気町、京都府、大阪府、大阪府豊能町、兵庫県姫路市、兵庫県加古川市、兵庫県養父市、奈良県、鳥取県、岡山県津山市、広島県、広島県東広島市、山口県下関市、山口県山口市、香川県高松市、香川県三豊市、愛媛県、佐賀県佐賀市、宮崎県延岡市

《実施した期間》

2023年11月6日から2023年12月8日までの33日間

《方法》

オンラインのアンケート回答システムを利用

 

 

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