分野を超えた連邦型データ連携基盤「DATA-EX」 始動
〜様々な業界でデータ連携基盤を独自に構築可能な共通基盤を提供〜
2024年4月10日
一般社団法人データ社会推進協議会
一般社団法人データ社会推進協議会(東京都港区、代表理事:奥井規晶、以下DSA)は、産学官を超えた連邦型データ連携基盤「DATA-EXプラットフォーム」(図1)の運用開始を発表いたします。本プラットフォームはDSAが発足以来開発に取り組んできたDATA-EXを実現するための基盤で、利用者は業界やコミュニティごとのデータ連携環境を安全・安心かつ効率的に構築できるようになります。DSAでは、本プラットフォームの利用団体等を支援するため、DATA-EX推進TF(タスクフォース)を新たに設置し、DATA-EXを通じて我が国のデジタル・トランスフォーメーションに貢献してまいります。
図1 分散連邦型の分野間データ連携基盤「DATA-EX」
■DATA-EXについて
DATA-EXとは、さまざまな分野、業界が自らデータ連携基盤(データスペース)を構築するための共通技術や標準等を提供する活動の総称です。
DSAでは、データと人材が連携・循環するエコシステムの実現を目指し、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期における分野間データ連携基盤技術開発の成果であるデータカタログ検索機能など、分野を超えてデータの発見と利用ができる仕組み「CADDE(Connector Architecture for decentralized Data Exchange;分散型データ交換のためのコネクタ・アーキテクチャ;ジャッデ)」をはじめ、データの原本性保証・品質評価、データ管理機能、統計、解析、可視化など、データ連携に必要な共通機能を開発しており、これらの共通技術を提供するDATA-EXプラットフォームを2025年から本格稼働する計画です。このDATA-EXプラットフォームの本格稼働に先立ち、2024年4月よりテストベッドの提供とDATA-EX推進TFによる支援活動を開始いたします。
DATA-EXプラットフォームでは、業界やコミュニティでデータ連携基盤を構築するための基盤技術としてCADDEをはじめとするソフトウェアモジュールを提供します。このソフトウェアモジュールを用いて構築されたデータ基盤では参加者間で安心・安全なデータ連携が可能となります。さらに、共通の基盤技術の導入により、従来課題となっていた業界や分野毎のデータ連携における技術的な差異を解消し、異なる業界・分野間のデータ連携にも容易に対応可能となります。
本プラットフォームは、鉄鋼ミルシート、スマートモビリティ、スマート防災など、様々な分野での活用が期待されており、具体的な取り組みとしては、デジタル庁による産業用データ連携基盤やSIP第3期における課題間データ連携基盤として採用準備が進められているほか、社会的ニーズの高いカーボンフットプリントやサーキュラーエコノミー分野での活用が検討されています。これらの取り組みに対し、DSAは業界関係者と連携し導入を支援して参ります。
■DATA-EXプラットフォームの特徴
図2 DATA-EXプラットフォームの特徴
1.データ主権の保持
DATA-EXプラットフォームは、参加する企業や組織が、自らのデータの提供可否や存在の公開可否を制御するという「データ主権」を保持することができる自律分散協調型のデータ連携基盤です。このため、競争力のあるデータをプラットフォーマーに委ねることなく適切に管理することができ、参加者のデータ主権が守られます。
2.DFFTの実践
DATA-EXプラットフォームは、参加者のデータ主権を守りながら、参加者の真正性と、連携されるデータや情報の真正性と完全性をTTP(Trusted Third Party:信頼のおける第三者)のトラストサービスにより担保します。さらに、データを利用する権利を保護し、安心安全にデータを取引可能とするデータ取引市場との連携やデータ利用権の活用により、契約管理、来歴管理の機能も提供します。これは、我が国が提唱するData Free Flow with Trust (DFFT)を実践するものであり、DSAは、OECD DPC ( The Digital Policy Committee )に設置されるDFFT Community of Experts にも参加しています。
3.国際標準に合致したグローバル適応
DATA-EXは、国内の分野を超えたデータ連携を推進するとともに、GAIA-X等の国際的なデータ連携推進団体との相互運用を見据えた社会実装を目指します。DSAは、これまでも世界各国のデータ連携を推進する関係機関と議論を重ね、国際標準化を推進するためのInternational Data Society Alignment Task Force (23組織が参加・図3)を共同設置するなど、国際標準に適した設計の採用を提案してきました。これは、我が国におけるデータ連携技術のガラパゴス化を回避し、日本企業の国際競争力を高める仕組みとなることを目指すものです。また、この国際標準化活動は、IEEE SASB (Standard Association Standard Board)、ISO/IEC/JTC1、CEN/CENELECなどの国際標準化団体による活動とも協調し、DATA-EXプラットフォームが最新の国際標準化と連動する取り組みを進めています。
図 3 DSAが進める国際的な枠組み「INTERNATIONAL DATA SOCIETY ALIGNMENT」
4.業界、コミュニティのデータ連携基盤構築を支援
DATA-EXプラットフォームでは、業界やコミュニティが、それぞれのデータ主権を保持したうえでデータ連携を行うための共通的基盤技術を提供しますが、各業界やコミュニティのデータ連携に対して不必要な制約を課しません。そのため、特定のデータモデルや固有の専門語彙体系などは、各々の業界やコミュニティに最適化された状態でデータ連携が実現されます。DSAが新たに組成する「DATA-EX推進TF」は、各業界やコミュニティ等におけるデータ連携基盤構築の相談対応や技術支援、実証実験の推進支援などを行います。
5.テストベッドの提供
DATA-EXプラットフォームで提供する中核的技術のCADDEコネクタは、利用者のアプリケーション、およびデータ連携する対向システムとの連携に必要な認証、認可、広告、発見、授受などの機能をAPIにより提供するソフトウェアモジュールです。DSAでは、CADDEをはじめとするソフトウェアモジュールがインストールされたテストベッドを開発試験用にご提供します。 CADDEコネクタは、利用者のシステム環境に導入することが可能で、業界・コミュニティ等で独自のデータ連携基盤を構築、運営することができます。
■DATA-EXプラットフォームのデモンストレーションについて
第10回DSAオープンフォーラムにて、DSA会長の越塚 登(東京大学大学院 情報学環・教授)より、DATA-EXプラットフォームの解説、およびデモンストレーションを行います。参加希ご望の方は下記リンクよりイベント詳細ページをご確認いただき、お申し込みください。
なお、本フォーラムはオンライン配信を行いません。会場はお席に限りがございますので、定員になりましたら受付終了いたします。
予めご了承ください。
一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)について
一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)は、産官学が連携し、日本だけでなく世界とも協力しながら、分野を超えた公平で自由なデータの流通と活用ができる社会(「データ社会」)を通じて、豊かな社会の実現に寄与することを目的としています。その一環として、既存のデータ連携に関する取り組みを調整し、連邦型の分野横断的なデータ連携を目指す「DATA-EX」を推進します。
本件に関するお問合せ
お問合せフォームをご利用ください。
https://data-society-alliance.org/contact/