IPA&DSAデータ未来会議 資料・動画・Q&A

IPA、DSA、デジタル庁、経済産業省などが登壇

データ戦略、DATA-EX、ウラノス・エコシステム等の最新状況とは

2024年1月31日に情報処理推進機構(IPA)とデータ社会推進協議会(DSA)が協力して開催した「IPA&DSAデータ未来会議」は、デジタル社会の礎であるデータ戦略とデータ基盤に焦点を当て、政策及び内外のデータ動向を共有するイベントです。大好評につき早々に満員御礼とさせていただきました。

多数のご要望に応えて、当日の講演資料と動画、またパネルディスカッション中における来場者からのコメントとコメントに対する回答を公開します。なお、一部動画は後日本サイト等で公開予定です。

2024年1月31日「IPA&DSAデータ未来会議」のプログラム等はこちら

 

講演コンテンツ(一部動画は後日公開予定)

 

開会挨拶
DSA会長 東京大学大学院情報学環教授 越塚登
開会挨拶(Youtube 約9分)
ウラノス・エコシステムの取組について

経済産業省 髙野 駿

DATA-EXの展開にむけて:
IDSA Japan Hub及びデータスペース技術国際テストベッド
DSA会長 東京大学大学院情報学環教授 越塚登

DATA-EXとDSAの活動

DSA専務理事 眞野浩

AI時代の官民データ整備・連携に向けたアクションプラン

デジタル統括官 村上敬亮

IPAのデータ社会実現に向けた取り組み

IPAデジタル基盤センター長 平本健二

パネルディスカッション「どのようにデータ社会を実現していくのか」

RRIインダストリアルIoT推進統括 中島一雄
国立印刷局理事 足立寛子
講演者: 越塚 眞野 平本
モデレーター:インプレス編集主幹 田口潤

クロージング
DSA代表理事/理事長 奥井 規晶

 

Q&Aと回答

当日会場に設置した投稿システム(Sli.do)よりいただいたご質問と、ご質問に対する回答を公開します。


ご質問:情報処理技術者試験の体系見直しも必要に思いますが、そこには手をつけないのでしょうか


ご質問:何をするにもお金がかかります。この講演、DSA、ロボット協議会、そのほかの推進団体はどこから資金を集めているのでしょうか。また、それぞれの職員の報酬は一般企業と比較してどの程度でしょうか。


ご質問:日本でデータ関連のコミュニティが育っていない要因と改善点があれば

  • データ関連のコミュニティとして、日本ではDSAやRRI等において、参加者間で活発な議論がなされています。また、FIWARE Foundation等の世界的なコミュニティには日本の企業が多数参加し、活動に貢献しています。IPAはこうしたコミュニティ形成や世界での活躍などを支援したり、IPAがコミュニティハブとして機能していくことなどを検討しています。
    コミュニティ形成が先行する欧州では、欧州委員会がデータ戦略を策定し、官民問わず1.9兆円の投資を行い、大規模なデータスペースという環境を整備しています。
    日本のコミュニティが育っていない要因として、データ戦略の範囲やそのための投資規模が小さいほか、データや基盤の整備が十分になされていないことがあげられます。先行する欧州を参考に、ワンチームで基盤の整備を進めることは、日本におけるコミュニティ形成を後押しするものと考えます。
  • (DSAより回答)
    DSAは、内外の産官学連携によるデータ社会の実現を目指して、本イベントをはじめとする取組みを推進しています。自団体にとどまらず内外のデータ関連の取組みと積極的に交流し、コミュニティ形成に寄与してきました。こうした取組みの積み重ねは、改善の一助になると考えています。

ご質問:データスペースの事業に誰がお金を出す(投資する)のか、国策で進めるのか、継続的な事業にどうしていくのか

  • (IPAより回答)
    データスペースの事業の運営については、様々な方法がありますが、事業継続や普及推進には、官民連携、民間事業者による運営、OSSコミュニティ開発が重要となります。
    データスペースの事業活動において先行する欧州では、欧州委員会や、Gaia-X等の民間のイニシアチブに賛同する協議会が、OSSコミュニティにより開発された技術を用いて、政府や参加企業の資金により、データスペースの事業を運営しています。
    日本のデータスペースも同様に、デジタル庁がDSAとデータ連携基盤「DATA-EX」を運営しています。また経済産業省がIPAと「ウラノス・エコシステム」を推進しています。
  • (DSAより回答)
    DSAは基盤構築・運用事業やコミュニティ育成へ積極的に関与していく方針です。しかし、データスペース事業継続や普及推進、持続的な相互運用性の確保には、当然コストが伴います。データやデータ処理技術の進化・変化を前提とした事業の継続は協調領域と考えられるため、持続的な国策の支援や投資を期待します。

ご質問:データでマネタイズできるというのが、イメージ出来ていないと感じます。データがお金になるという意識改革について、何がキーになると思いますか?

  • データ連携によって生まれる新たなビジネスやビジネス関係を視野に入れると、データはマネタイズ可能な財になりうることがわかります。例えば、プライバシー保護技術などを活用すると、隠すべき値は隠したままで業界内等のデータ共有・連携が可能になるため、金融や医療などで導入が進んでいます。これまで競合でしかなかった企業同士でも、データ連携により新たな協調領域すなわち新たなビジネスの源泉と価値を創造しうるのです。
    データ社会の参加者には、データが広く活用されることを肯定し、データ連携を前提としたビジネスモデルで収益を目指すような意識改革が求められています。そのため、IPAやDSAはこうした啓発活動のほか、データスペース検討やデータの標準化を推進し、利活用可能なデータの拡充を進めています。利用可能なデータの選択肢を拡げることで、データ連携による様々な協業が推進されるためです。産官学民の参加者にはこうした取組みへ積極的にご参加いただき、有益なデータモデルやベストプラクティスの共有などお願いしたいと考えます。
    データ連携による新たなビジネス創出の考え方のひとつとして、自社単独でデータそのものを販売する方法もあります。
  • (DSAより回答)
    DSAはデータやデータ利用権の取引市場に関する調査研究や実証実験を通じ、安全・安心な組織間データ取引のルールづくりやシステム整備を進めています。また複数のDSA会員が、データ取引市場や相対取引によって、すでに企業間データ売買によるマネタイズを実現しています。

ご質問:組織内の意識改革について、感度の低い経営層管理職層への浸透へ良い方法はないでしょうか。

  • (DSAより回答)
    実際には多くの組織でデータを扱っていますが、それが「データ」だと認識していないことは少なくありません。GAFAの保有データも社内データも、規模は違えど、宝の山でありリスクの山です。
    DSAで公開している「データカタログ作成ガイドライン」を使ってデータセットを整理すると、活用可能なデータや保護すべきデータを可視化できます。即時に意識改革、感度アップとはいかなくても、データを社内資産として認識するきっかけとして有効です。
  • (IPAより回答)
    企業が継続的に市場環境での競争上の優位性を確立するためにはデジタル変革が必要であり、そのためにデータを活用する必要があるとすることで、組織内の意識改革につながりやすくなります。
    データのみに焦点を当てても、経営層の意識改革は難しいこともあります。

ご質問:情報工学学士のまま来てしまっているので、どこかで修士を…と思いながらアラフォーになり、データ関連界隈に近いところにいるこの頃ですが、越塚先生の研究室は社会人学生を受け入れているか気になっています

  • (東京大学・越塚研究室より回答)
    東京大学では、様々な社会人向けの学習プログラムを提供しています。各部局によって提供されておりますので、それぞれをご覧ください。また「東大エクステンション」でもそのようなプログラムを提供しています。
    社会人で働きながら通常の修士課程・博士課程に在籍している学生もおります。このように、大学院に入学して修士号や博士号を目指したい場合は、各部局の大学院入学試験を受験してください。
  • (IPAより回答)
    データを含め、ITの分野は変化が速いため、常に最新情報を学んでいくことが必要となります。

ご質問:現在任期のある3月で終わる仕事をしていて、データ利活用に関係する事業にも絡んでいたのですが、IPAのJob Descriptionが気になっています… 他のMOUを結んでいる先も気になっていますが…


ご質問:持続可能なデータスペースの仕組みを構築するには、どういうマネタイズが必要だとお考えでしょうか?

  • (DSAより回答)
    持続可能であるためには、データが常に一定の品質(精度、頻度、範囲など)で供給され続ける必要があります。データ品質が常に維持されているためには責任とコストが伴うため、とくに公共性の高いデータに関しては政策の支援が望まれます。市場競争の影響を受けずデータスペースが稼働していることにより、多様な利用者がそれぞれ安心してマネタイズを目指す仕組みを構築しやすくなります。
    またデータやデータを扱う技術は常に進化・変化を続けます。一度作って完成するものではなく、変化を前提に、データスペース自体が成長を続ける必要があります。

ご質問:日本企業が欧州と取引を継続していくためには、Catena-xとウラノスエコシステムのどちらを利用していくのが良いのでしょうか? ウラノスでこれから欧州電池規則への対応を行っていく一方で、Catena-xはすでに世界展開を開始しているので、日本企業としてはCatena-xを利用する方が早いという判断になり得ると思います。


ご質問:村上統括官様が云われる日本のスマートシティーは山頂なき山登り状態だとのことですが、現状は如何でしょうか。


ご質問:ウラノスエコシステムも業界横断で広げていくとのご発言が先ほどありましたが、DATA-EXとの棲み分け、及び連携はどのように進められていくのでしょうか?

  • 各団体が連携しワンチームで取り組む中で情報を発信していく予定です。

ご質問:データを集めた後に、悪用されないようトラスト基盤が重要になってくると思われるが、コストがかかり、収益はみこめないと想定する。国が対応していくのか。

  • データを集めたり交換したりするプラットフォームにおいて、トラストを保証するトラストフレームワーク(トラスト基盤)は非常に重要です。トラスト基盤を具体的に実現するための仕組みには、民間から公的機関まで様々な組織が関与することになります。安全・安心なデータ社会という共通目標へ向け、国が全体アーキテクチャを示し、それぞれの組織が得意とする領域でトラスト基盤を構築していくことが想定されます。
    相手の信頼性を確認するトラスト基盤のような共通機能は、同じ機能を共有する参加者が揃っていることによって、一層効果的に機能します。したがって個社が検討・投資するよりも、共通プラットフォームを活用する方が、低コストかつトラストの目的を適切に叶えられることが多いと見込まれます。
  • (DSAより回答)
    欧州の取組みにおいては、認証されたトラストサービスの提供事業者が様々な技術で信頼性担保を担っています。トラストに伴うコストが社会で分担されいる場合、必ずしも収益を圧迫する要素とはいえません。
  • (IPAより回答)
    トラスト基盤のような共通なものは各企業で用意するよりも、汎用的な共通プラットフォームを活用する方がコストが抑えられるケースが多いです。
    ただし、トラスト要件によっては企業で用意しなければならない状況も発生するため、共通プラットフォームの活用の要否を検討する必要があります。

開催概要

日時 2024年1月31日(水) 14時00分〜17時30分
会場 ベルサール三田ガーデン(東京都港区三田)
主催 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)
参加費 無料
参加者 110名

プログラム詳細や登壇者のプロフィールは「IPA&DSAデータ未来会議」イベントページをご覧ください。

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